公開セミナー(「常ニ備ヘヨ」シリーズ第2弾)
「六甲山の土砂災害・水害に備える
━( 阪神地域)住民にできる準備とは?」
9月24日(土)、午後1時半より4時半すぎまで、甲南大学5-11教室において、上記のテーマに関するセミナーが開催され、盛況のうちに終了いたしました。Media Roccoは、前回の南海地震に関するセミナーと同様、このセミナーについてもUSTREAMによる同時中継放送を行いました。また、休憩期間中に、Media Roccoのスタッフである東灘区の住民が制作した防災情報番組「サリーの備えあれば嬉しいかも・・」を上映しました。この番組は、ひがしなだコミュニティーメディアの番組制作スタッフの初作品です。
趣旨:花崗岩を主たる形成地盤とする六甲山系は、地質学的には脆いことで知られています。事実、近年においても、昭和13年(1938)の阪神大水害、さらに昭和42年(1987)の7月豪雨において、土砂災害による大きな被害を出してきました。地域で安全に働き、学び、暮らすためには、こうした歴史的事実を踏まえて、現実的な対策を立てなければなりません。阪神地域の住民にとって、集中豪雨、土砂崩れ、水害などがおきたばあいに、どうなるのかを正確に知り、「正当にこわがる(寺田寅彦)」ことによって、行政として、また地域で生きる個人として、具体的、現実的な対策をたてることが大切であると考えます。
公開セミナー方式:六甲山系の地盤や防災に詳しい専門家である沖村孝氏(神戸大学名誉教授・地質学)に基調講演をお引き受けいただきました。また、地域に砂防ダム(砂防えん堤)を建設し、さまざまな防災の広報活動も活発に行ってこられた六甲砂防事務所調査・品質課長の木下篤彦氏、およびいざという時に、救難活動の先頭に立つ東灘消防署地域防災担当主幹の上山繁氏にお越しいただき、阪神地域の地震や、局地的集中豪雨、土砂崩れのパターンや危険区域について、また行政による具体的な対策と個人へのアドバイスを、市民に直接話していただきました。
沖村先生ご自身についてはここを、土砂災害関連のご研究はこのHPの記事をご参照ください。
今セミナーのハイライト版について
以下の目次に従って、講演の詳細を10月いっぱいをめどに、ハイライトでご覧いただけるように努力いたしますので、しばらくお待ちください。
日時:2011年9月24日(土)午後1時半~4時半
場所:甲南大学511教室 司会:井野瀬久美恵(甲南大学教授:学長補佐)
13:15 開場
式次第
13:30~13:35 学部長挨拶挨拶 : 森 茂起 文学部長(教授)
13:35~13:45 趣旨説明: 森田三郎(甲南大学教授)
13:45~14:45 基調講演 沖村 孝氏
: (神戸大学名誉教授:財団法人 建設工学研究所 常務理事・地盤工学)
「地質・緑地環境から見た六甲山の変遷:土砂災害からいのちを守るために」
14:45~15:25
14:45~15:25 報告1 木下篤彦氏
: (国土交通省 近畿地方整備局六甲砂防事務所 調査・品質確保課長)
「六甲砂防事務所の土砂災害への取り組みとグリーンベルト事業への市民参加について」
15:25~15:45 報告2 上山 繁氏(神戸市東灘消防署地域防災担当主幹)
「住民と協力してできる土砂災害・水害対策」
15:45~16:00 休憩:東灘区住民(「ひがしなだコミュニティメディア」スタッフ)が制作した防災情報番組「サリーの備えあれば嬉しいかも・・」を上映しました。
また、この間を利用して、質疑応答用紙の回収も行いました。
16:00~16:30 質疑応答:会場からの質問と講師陣による回答
時間的に答えることができなかった質問に関しては、後日、本ホームページ
にて、掲載予定です。
以上
主催・共催関係:
主催 甲南大学(文学部)
共催 大学コンソーシアムひょうご神戸(HKUC) ・ 甲南大学地域連携センター(KOREC)
協賛:ひがしなだコミュニティメディア(放送部門のMEDIA ROCCOが
UStreamによる同時中継放送とアーカイブ作成・公開を担当します)
土砂災害・水害対策に役立つ参考サイト:
(1)神戸市河川モニタリングカメラシステム
神戸市内の30の河川の水位などを、動画映像とグラフでリアルタイムに知ることができるシステムです。パソコンでもケータイでもチェックできます。ちなみに、東灘区では1 高橋川(深江橋)・2 要玄寺川(深田橋)・3 天上川(天上川橋)・4 住吉川(五百崎橋)・5 天神川(沈砂池)・6 石屋川(水道橋)、の6河川、灘区では都賀川(甲橋)にカメラが設置されています。
(2)
全国の主要河川の水位や雨量データを、国土交通省がリアルタイムで提供しているサイトです。阪神間地域の水位については、武庫川(西宮市小曾根&生瀬:阪神地域で最も長大な武庫川の観測地点は、三田市などにもありますが、ここでは小曾根と生瀬を紹介しておきます)、夙川、芦屋川、高橋川、住吉川、都賀川の水位がわかります。、
さて、台風12号が全国各地に記録的な集中豪雨をもたらし、大きな被害をもたらしました。深層崩壊という聞きなれない言葉が、このニュースに関連して出てきます。深層崩壊のメカニズムも含む詳しい情報は、ここをクリックして下さい。
実は、独立行政法人土木研究所が日本全国を対象とした「深層崩壊推定頻度マップ」を作成しています。これをダウンロードして、600倍くらいに拡大して、自分の住んでいる地域の色から、凡例に従って、深層崩壊の起こる頻度(可能性)を判定してください。大まかに言えば、阪神地域は、深層崩壊に関しては、あんまり怒らないところのようです。しかし、表層の地すべりは、また別です。